スイスの視点を10言語で

スイス、原発の新設解禁めぐり国民投票へ

原発の管制室
スイスは2017年の国民投票で、原子力発電所の新設禁止を可決した KEYSTONE

スイスで原子力発電所の新設を解禁する案が国民投票にかけられる見通しとなった。ただ政府・議会が対案を出す可能性があり、投票実施までには数年かかりそうだ。

ブラックアウト(全域停電)を止めよ外部リンク」と題するイニシアチブ(国民発議)の発起人たちが16日、約13万筆の署名を連邦内閣事務局に提出した。スイスでは18カ月間に有権者10万筆の署名を集めることで、誰でも憲法改正案を国民投票にかけることができる。

イニシアチブは、2017年の国民投票で可決された原子力発電所の新設禁止を覆すことを目的としている。 

発起人委員会は、スイスは将来的に制限のない思考に基づく技術的な中立性、環境に優しい電力、責任の所在が明確な電力安全保障が必要だと訴えた。

イニシアチブを主導するのは中道右派勢力だ。委員会には国民党(SVP/UDC)、急進民主党(FDP/PLR)、中央党(Die Mitte/Le Centre)や各種経済団体が名を連ねる。

今後は、連邦内閣(政府)や連邦がイニシアチブへの対案を作成するかどうかが注目される。イニシアチブの内容を取り込んだ対案が作成されれば、発起人がイニシアチブを取り下げることもある。イニシアチブに真っ向から反対する対案なら、イニシアチブ・対案の双方が国民投票にかけられる。

環境団体や反原発はイニシアチブに猛反対し、「原子力ロビーの隠れ蓑」だと批判している。

英語からの翻訳:ムートゥ朋子

最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む
ベルジエ報告

おすすめの記事

「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱

このコンテンツが公開されたのは、 スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。

もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
整備中の飛行機

おすすめの記事

スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠

このコンテンツが公開されたのは、 スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。

もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
署名の入った箱

おすすめの記事

国民投票に向けた署名がまたも偽造

このコンテンツが公開されたのは、 医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。

もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造
エリック・ヘンニさん

おすすめの記事

スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト

このコンテンツが公開されたのは、 1964年東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったスイス人柔道家のエリック・ヘンニ(Eric Hänni)さんが25日、86歳で死亡した。スイス柔道・柔術協会が発表した。

もっと読む スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部